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男と主人公
例えば階段をだらだらと降りる姿に苛々する。違う歩調で生きる人間なのだと理解していても、自分の世界における不協和音を嫌う男にとって、些細な事ほど不快だった。(嗚呼無理だ)思った時には、男は舌打ちと共に足で目の前の男の背中を蹴っていた。スローモーションの中で、歪に口元を歪める。
#先に逃げ出したのは神様だから俺は悪くない
#先に逃げ出したのは神様だから俺は悪くない
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大和と武藤
泣いているのだろうな、と大和は思った。平素と変わらぬ顔の武藤の瞳に涙は無いが、ガラスの器に水が滴り落ちるのを大和は空想した。武藤という男は不器用で、何より、自分の感情を表に出すことをまるで罪であるかのように考えている。泣けば受け止めてやるのに、と思いながら手を手繰り寄せた。
#学生戦争
#学生戦争
メモ
戦には、名も無い人間の死がこびりついている。
大和と武藤
飲み込まれてしまいそうな大きな海に、武藤は胸元を強く握りしめた。呼吸の仕方を忘れたか、あるいは溺れたように息苦しかった。自身の根源となる場所から何かが這い上がってくる。(知らない)けれど、知っていた。海に立つ男の背を、武藤は知っている。恋、思慕、恋慕、熱情、愛。単語で表現した途端に、掴むことはできずともあったものが、気化したように見えなくなる。全身が、五感が、目の前の男の存在を知覚している。漏れた嗚咽に振り返った男の名を、武藤の魂が知っている。
#学生戦争
#学生戦争
大和と武藤
家ではないどこかに帰りたいという感覚が大和にはある。山育ちでありながら、大和は海が好きだった。空と海の交わる場所を見つめ、耳をすませる。人気のない砂浜に座っていると、風の合間に海の向こうから呼ばれるような気がした。この海では、幾人もの若者が戦死したという。霊感などというものを大和は持ち合わせていないが、遠くない過去を思うと焦燥感が背筋を這い上がってくる。(あそこに帰らねぇと)どこかも知れぬ場所へ、大和は帰りたい。
大和と武藤
飛行機雲のあとを目で追ってしまう癖が、武藤は嫌いだった。そもそも飛行機という乗り物に対して武藤は懐疑的である。鉄の塊が空に浮かぶ事自体が、不思議なのだ。不思議だからこそ見るのか。探るようにジッと見つめる瞳を自分の意思でも引き剥がすことができず、武藤は青空を見た。消えない白い尾を眺めていると、無性に消えてくれるなと思う。飛行機雲が消えないのは雨が降る前触れだと聞いたことがある。青空が流す涙の理由を知らないはずであるのに、頬を濡らす涙の冷たさに武藤は身震いする思いがした。( )叫びたいのに、叫ぶ言葉を武藤は知らない。
#学生戦争
#学生戦争
創作
身体の中に悪魔を飼っている男。悪魔を手懐けるために餌となる悪行をし尽くした男だが、手懐けた後は人間を助ける事に悪魔の力を使っている。それを知らない人間から悪行について罪を償うように求められ、迫害され、命を狙われる男。悪魔の「助ける必要ないだろ」という言葉には耳を貸さない。
八代と武藤
相容れない、と八代は思った。武藤と八代の考えは平行線どころか対極をいく。西国への侵攻に消極的な男の胸ぐらを掴んで問うてみても理解しがたい答えが返ってくるのみだ。「国を棄てた奴らは守るべき民ではない」という主張を、武藤の澄んだ眼が、まるで判定するように見つめる。見透かしたようなこの鶯色の瞳が、八代は大の苦手だった。(埒があかない)この男は、いずれこの軍にとって厄となるだろう。手を離し、最後に「この戦に勝つ気があるのか」と問えば、武藤は薄く笑って「戦の勝敗は本質じゃない、目的のためなら勝ちなどくれてやる」と言った。
#学生戦争
#学生戦争
グレイスとシェイナ
人種と言ってもいい。ある種の人間がシェイナは苦手だ。「お前は好き嫌いが激しいな」気に入らなければ切って捨てるようなグレイスに、シェイナは首を振った。「相手が私を嫌いなんです」俯いて言った言葉に、グレイスは笑った。嫌悪するのが当然だと、珍しく感情を否定しない女が可笑しかった。
#コントラクター
#コントラクター
創作
世界を意のままに操る事ができるKING。ある日JOKERの罠にはまり全ての力を失ってしまう。残ったのは豊富なHPとMPだけ。一度受けた攻撃によるHPの消費は回復することができない。削り行くHPで、JOKERに勝つことができればKINGとして返り咲くことができる。KINGはHPが削れ死に行く身になったことで、意のままに動かせていた世界で限りあるものである事に気づいていく。最初の内にHPが大量にあるため、過信して弱い敵の攻撃を受けていると、後半がきつくなる。