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創作
旅人が旅人と出会って旅の記憶を交換する話。トレードした記憶はアイテムのようなビー玉のような形になる。経験をトレードすることになるので追体験が可能で、イメージだけならその場所に行って冒険もできる。ただしその人の記憶の範囲内。
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誰かと誰か
俺の勘はよく当たる。最低最悪な場合だけ。例えば、マンガみたいに幼馴染で家が隣の女の子がいて、休み時間とか結構目が合ったりして、やばいもしかして両想い!と淡い期待を抱いた次の日に、アイツが告白されたりするんだ。勘付いてたさ、視線は俺じゃなくて隣のアイツだった、ってことくらい。神様って奴は絶対に不平等で、アイツばかりがいい思いをするように世界を回しているに違いない。でなければ、あんなにもアイツだけがモテて、ちやほやされる筈がない。どうせモテない奴の僻みですけどね!嗚呼でも、アイツの好きな相手は俺の幼馴染だから、それなりに話せるし、帰りは一緒だし?そりゃあ当然、邪魔しかしてやらない。知らん顔で幼馴染みの枠のにおさまって、どんなに罵られようが構わない。アイツにだって俺と同じ悔しさを味わう権利はあるのだから。そうだろ? これが今の俺の幸福追求権!だから今日も、俺はアイツが苦虫を噛み潰しているのを横目で見ながら、何も知らない彼女と、アイツ以上に喋ってアイツ以上に一緒にいて、ある種アイツ以上の存在である永遠の友達になってやるんだ。分かりきった結末を少し面白くする、神様の駒だったとしても。
本編メモ
七月三十一日。葉月嵐(はづきあらし)は全速力で坂を上っていた。白い半袖シャツが風によって空気を吸い、背中がパラシュートのように膨らんで足に纏わりつくように重たい。顔に指定のネクタイが当たり、鞄が腕と背の間で不均等に揺れて上手く走れないが、とにかく今は走らなければならなかった。
「だぁああ、畜生!」
ダン、と最後の斜面部を登りきった途端、額から汗が噴き出る。しかし休んでいる暇はない。そのまま短距離ランナーのスタートダッシュのように身を屈めた嵐は、三百メートル先に見える学校へと向かって夏の太陽の光と熱を吸ったコンクリートを蹴った。
「夏期、休校…」
三つの呟きが重なり、三人は校門の張り紙を見つめ、そして互いを見つめた。
#32日目の夏休み
「だぁああ、畜生!」
ダン、と最後の斜面部を登りきった途端、額から汗が噴き出る。しかし休んでいる暇はない。そのまま短距離ランナーのスタートダッシュのように身を屈めた嵐は、三百メートル先に見える学校へと向かって夏の太陽の光と熱を吸ったコンクリートを蹴った。
「夏期、休校…」
三つの呟きが重なり、三人は校門の張り紙を見つめ、そして互いを見つめた。
#32日目の夏休み